「極北」マーセル・セロー

時々なんでこの本は今このタイミングで私のところにやってきたのか…と思うことがあります。仕事で悩んでいるときに、たまたま手にした本で主人公が同じように未来について思い悩んでいたり、自意識過剰な主人公の独白に自分の直近の出来事が重なったり…他にも多々。そしてこの極北。読んだ感想は「なんでコロナのこのタイミングでお前を選んでしまったんだーーー!!」。この本に出合った時は特にコロナ騒動もおきておらず、翻訳が村上春樹なので興味があって積読していた本。コロナで本を読む時間が出来たので、「お、そうだそうだこの本もあったよね」と手にしたらコロナで落ち気味の私に刺さりました。

訳者あとがきでもふれられているのですが、とりあえず内容を知らないまま読んだ方がいい!という内容の本なので言われるがままその通りに読みました。目次から読み解こうにも、目次にはただ無味乾燥な「第一部」「第二部」などとただの数字の章が並び、今から思えばそのそっけなさもこの本の一部でもあったのかも…

ということでネタバレしてませんが、内容を全く知らない方がいいと思うのでこの本を読む予定の方は下記の文章読まないで…

主人公はメイクピースという名前。場所は現代なのか過去なのか未来なのか…とりあえず主人公が一人で街に住んでいる様子。場所は北の方。どうやら過去には凄惨な殺し合いがあったらしい…ということもわかってきます。とりあえず読んでいくと村上春樹氏がいうように、えー!そうだったのか!!というようなストーリーがバンバン出てきます。それもかなり最初の方で。全体的な内容は「暗く」て「不穏」です。舞台ははっきりいって終末世界。コロナで人がバタバタ死んで経済活動が完全に終わったら、世界大戦に突入したりして!?そしたらこんな世界?メイクピースみたいに生きられない…どうしよう…!!とか。家に閉じこもっているので自分の発想もかなりネガティブ。そして主人公は何度も何度も希望を打ち砕かれます。なんかちらっと希望の光が見えると、それが消されてしまう…それが読んでてつらかった。でも最後の最後のオチが…あれってあれって??そういうことかな??読んだ方と語り合いたいです。

どーでもいい感想ともっとネタバレ↓

メイクピースが追い求めているのは最初「飛行機」に象徴される物質や文明のような何か…であったようなのに、そこから少しずつ追い求めていくものが変容していく…結局最終的にはアラスカ?のような文明地で過ごすこともできたはずなのにそれを求めずに自分の故郷に帰って静かに生きていくことを選択するわけで。なんというか青い鳥のような結末?でも最後のオチを考えると本当の生きる目的はそこにあったということだよねなー。ビフォアーコロナと文明。アフターコロナとメイクピースのラストなど自分の現在の状況を色々考えながら読んだ本でした。

コロナで弱ってる方!注意!