「コーヒーが冷めないうちに」 川口俊和

「過去に戻れる席」がある喫茶店フニクラフニクラ。ただ過去に戻れるにはルールがある。

 

1.過去に戻っても喫茶店を訪れた事のない者には会う事はできない

2.過去に戻っても現実は変わらない

3.席に座ることができるのは先客が席を立った時だけ

4.席を立って移動する事はできない

5.コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでに過去から戻ってこないといけない

 

ということで過去に戻れる席をめぐる人々のお話です。

設定がおもしろーーーい!と思いました。

多感な時期にバックトゥーザフューチャーを見た私にとって、タイムトラベルで「過去に干渉すると未来が変化する」という設定はもはや数学の定理と同じくらい絶対的な真実。そこを真っ向から無視したこの作品はそれだけでも一読の価値があると思いました。そんなアプローチの仕方が!?しかも説明はまったく無しで、「ルールですから」ざ…斬新…

最初は少し文章に違和感があったのです。登場人物の紹介があまりにも説明的だったり、いや、今時そんな表現方法…!とつっこむところがあったり…でもそこを差し引いても余りあるこの設定。本好きならこんなタイムトラベル系も読んでて損はないかも。そして現実のあり方についてのメッセージが強く打ち出せれてそこが爆発的に売れてる理由なのかなーと思いました。みんな肯定してほしいんだよね…まあ、あまりにも強く打ち出しすぎで何か興ざめ―って方もいるかもしれませんけど…。しかしこの作品は小説というより自己啓発のジャンルじゃないか?


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