「あなたの人生の物語」テッド・チャン

映画「メッセージ」がとてもよかったので、原作の「あなたの人生の物語」をここ2週間ほどずっと読んでいました。

この原作者、テッドチャンという方は数々のSF文学賞を受賞されているそう。難しそうだけど映画も見たから大丈夫かなー、と臨んだんですが…あえなく撃沈…

ってことで、何度か読み返したりしたんですが、一言でいうと、すげーーーー難しいぃぃぃーーーー(涙)って感じでした。自分ってアホなんかなーとか思っちゃいましたよ。さくさく読み進めるというのの真逆の、苦戦を強いられる読書となりました。

でもまあ表題作はやっぱり何度も読み返したくなる名作ですし、他にもお気に入りの作品が。ということでざっくりネタバレをからめた感想を書きます。

 

未読の方は読まないでくださいね

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「バビロンの塔」

SFっていうよりファンタジーの要素が強い作品。塔に人が住んでたりとか、そういった描写の部分がかなり好きな作品。何かの比喩かと思ったら本当に天井を掘ってた。

で、高い塔が地表に戻っていたという…「いやいやそんなことないだろー」って感じではあるのですが、昔の人は海の向こうは滝になって世界の終わりって考えていたんだから、宇宙に近づいて行ったらぐるりと元にいた場所に戻ってくるっていうのは実はあったりするのかも…と思いました。SFだとこの「ぐるり元いた感」って時空のねじれ的考え方で大抵進むと思うんですが、この作品は時はそのままで場所の高度がぐるり戻ってくる感じでおもしろいなーと思いました。

 

「理解」

何か人工的に超人になった人の話を、アルジャーノンじゃないベクトルで俺が書くとこうなる!って感じなんですが、何か主人公のナルシスト?気持ち悪い感じ?がどうも受け入れられなくて。で、最後ちょっとスカッとしました

 

「ゼロで割る」

一番解読不能だった物語。要は壮大なる夫婦喧嘩の話?分かり合えないってこと?章も9a=9bとか特殊な感じで書かれているので意味があるんだろうなーと思うんですが、理解不能。妻は数学的視点、夫は夫婦関係の視点で読めばいいのかな?特に最後の部分の「なぜなら、その感情移入こそがふたりを結びつけずに、逆に引き裂いているからであり、彼女にそれを打ち明けることはできないからだ。」の部分が??何で打ち明けることができないんだろう?

 

「あなたの人生の物語」

映画の原作で表題作。2度、3度読み返すと「あ、こことあそこはリンクしてるんだ」とか色々発見があって、いい作品だなーと。映画と原作は若干設定が違うものの、映画は小説の意味不明な部分をちょっと解説しているというか、映画は原作の解説みたいな位置づけ?映画みたいに感傷的ではなく、娘が亡くなることももっとお涙チョウダイ的に書けそうなんだけどそこはさらりと流してるっていうか…しかし最後の「わたしがめざしているのは歓喜の極致なのか、それとも苦痛の極致なのか?」が重いーーー。結局その二つを同時に味わう世界を過ごしていくってことですよね。

 

「七十二文字」

世界観が好きな作品。一番この本の中で冒険活劇的な感じ。名辞って結局DNAってことでいいんでしょうか?

 

「人類科学の進化」

何かこのままプロローグになりそうな作品。短いよー。

 

「地獄とは神の不在なり」

いちばん面白かったかも!天使が現れる時に自然災害みたいに人が死んじゃうなんて!!なんて斬新なんだろう。最後の車で疾走するシーンとか映画のようでスピード感があって最高です。あのオチも、最初に読むとむむ!?と思うのですが、再読するとやっぱりこれしかないよなーと思ったり。神は圧倒的でそして不平等であるってこと?しかしテッドチャン、この作品で批判されなかったのかな?クリスチャンの方が読んだ感想とかが知りたいです。

 

「顔の美醜についてードキュメンタリー」

一番この本の中で現実化しそうな世界。主人公が実はカリーを外したら可愛くなかったってオチかと思ったら逆で、実は美人という設定にびっくりしました。性格もすごくいい子なんだけど、そもそもカリーを付けてない状態で育っていたら一体こんな子になっていたんだろうか…とか思うとカリーをつけるってことがどうなのか深く考えてしまいます。読書感想文とか書きやすそうな話ですね。とっても面白かったです。

 

しかし本当に苦戦しました。色々中で書かれている単語とか法則とか調べたんですけど…でも読まない方がいいかと問われると、いや、絶対一回は読んで。がんばって全部読んで!!って感じです。映画もセットでおすすめします!
映画 「メッセージ」 | trip from Okinawa

 


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