「ハーモニー」 伊藤 計劃

随分前に読んだ虐殺器官の、続編…というか虐殺器官の後の世界。

虐殺器官で描かれた先の大災禍(メイルストロム)で戦争や未知のウィルスが蔓延。人類は未曽有の危機を迎える。生き延びた人類は、従来の世界から健康を第一にに考える医療福祉社会「政府」によって管理されることに。「WatchMe」と呼ばれる体内監視装置が埋め込まれ、健康状態を管理されることになった人々。それによって心も体も健全になった世界だが一体その世界はユートピアなのか…というお話です。

虐殺器官は現在の延長線上にあるようなSFでしたが、ハーモニーは完全に未来のお話。でもWatchMeなんかは実際近い将来にありそうだなと思うのです。

全てがコントロールされた世界はユートピアなのか…というところがお話の核なんですが、ぼんやりと死後の世界を考えていました。

というのもスピリチュアルな本など読むと、あの世はユートピアでなんでも叶うからこの世には制限のある世界を楽しみにきてるっていう説があるじゃないですか。あの世はなんでも叶う。望んだらすぐそれが叶えられる…それって楽しいのかなー飽きないのかなーと思ったことがあって。ハーモニーの社会は心も体も健全で、病気なんて全てコントロールされてて…一見ユートピアっぽい感じ。でも実は食べすぎたり食べなさすぎたりできなくって。一見ユートピアっぽいけど本当なの?と。

まあ大災禍(メイルストロム)のような世界は間違いなく地獄なわけですが、でもハーモニーのような世界がユートピアかというとまあ、それもまた違うような感じで。

じゃあ今自分がいる世界が実はユートピアなのかなあ…などとぼんやり考えさせられた本でした。

虐殺器官の真っ黒の表紙と反対で真っ白の表紙のハーモニー。でもこの本で二つで一つのところがあるので、是非虐殺器官を読んだ方はハーモニーも読んでみてください!

 


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