芥川賞受賞作品。
何かすげーの読んじゃったなという感想。ほぼ主人公桃子さんの独白でお話は進んでいきます。
主人公の桃子さんは70代。若い時に東北を飛び出しそれからほぼ東京で標準語を使い生きてきました。14年前夫に先立たれ、今になって溢れてきた東北弁。この東北弁を使って頭の中の幾人もの「オラ」と話をします。桃子さんは頭の中に溢れる声と会話しながら、自分の人生、老い、旦那さんとの死別…などを思い出し、これからの自分の往き方に思いを寄せるのでした…
って書くと暗そうな話で全然読みたくないんですが、なんつーかそれとは真逆の東北弁ロックンロール!な文体。なんかもう東北弁の勢いに圧倒されまくりなんですよ。「おらおらでひとりいぐも」は宮沢賢治の永訣の朝の一節。何かこの題名でけんじーっと連想すると静かな深々とした話…って感じですが、題名とは裏腹の桃子さんの脳内会議。こっちはどちらかというと怒涛の津軽三味線みたいな感じなのです。
だからといって、この桃子さんが破天荒かというとさにあらず。桃子さんはいたって普通の人物。「初老」で「夫と死別」で「子供と少し疎遠で距離を置かれている」…ともうどこの家庭にもありそうな境遇のおばあちゃんなのです。だからでしょうか、桃子さんをとても近しく感じました。桃子さんの境遇で老い…となるとかなり暗くなりそうな話ですが、この桃子さんはすごく力強くてサバサバしていて何かイマドキのお年寄り!?って感じ。なるほどこの題名はぴったりと思いました。
とりあえず東北弁がすごすぎるこの本。再読は誰かに音読してもらいたいな…
コメントを残す