グリコ森永事件をテーマにしたこの作品。文春ミステリー2016年の国内一位、2017年の本屋大賞 第3位ということで、期待して読んだのですが、確かにお・お・おもしろい!!!!
昭和最大の未解決事件、ギンガ萬堂事件の時には子供であった曽根。ある日父の遺品を整理している時に一本のカセットテープを見つけます。そこに残されていたのは「ギン萬事件」で使用されていた脅迫テープ、そしてその声は自分…父が事件に関わっていたのだろうか…父が自分を使ったのだろうか…というお話。
主人公と私は同世代。確かに子供の頃グリコ森永事件を体験してますし、キツネ目の男の顔ははっきりと脳裏に再現できるのですが、子供の声が脅迫テープに使用されていたのは初めて知りました。
グリコ森永事件がテーマではあるのですが、フィクションということで作品の中ではグリコ=ギンガ、森永=萬堂と名前などは全て変更されています。が、社長が誘拐されたり青酸カリが混入されたお菓子が置かれたりという事件の内容は全て現実と同じ。フィクションですが事件の黒幕などは「確かにこうだったのかも…」と思わせる説得力がありました。そして謎解きだけではなく、一貫して描かれていたのは家族の姿。犯人にも家族がいたであろう、そして身内があんなに大きな事件に関わっていたのだとしたら…という恐怖がしっかりと書いてあってラストには心が震えました。
あの事件の時、私は小学生。あの頃スーパーの棚からお菓子がなくなって「なんだか大変なことになってる」と思ったりしていたのでした。事件が収束した後ですが、森永のチョコボールが立て続けに溶けていて、母がお客様センターに食べていいですかと電話したりなどして…今思えば親達もピリピリしていたんだろうな…その後突然、背広を着た森永の人がすごい大量のお菓子を持って謝りにきたりして、びっくりしました。「一件一件家まわってはるんやろうか…大変なことやな」と母が呟いていたのが印象的でした。
…というのが私のグリコ森永事件の思いでです。
あなたのグリコ森永事件の思い出はありますか?そしてもし親が事件に関わっていたとしたら…??ちょっとした昔も思い出せるこの作品。とりあえず面白かったですよ!
コメントを残す